交通事故やスポーツなどでも起こることがあるむち打ちは、事故直後に症状が出ないケースも多いのですが、事故にあったら警察、保険会社への連絡とともに、すぐに医療機関へ行く必要があります。
むち打ちは見た目では判断しづらく、そのうえ症状が遅れてくる可能性もあるので、事故にあった本人が大丈夫だと思っていても、何日か経って症状が出ることもあります。
この記事では、むち打ちの原因や種類のあとに、治療法や治療にかかる期間をご紹介します。
事故にあった後のむち打ちの症状に悩まされているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
むち打ちとは?
むち打ちは、事故だけではなく、スポーツ中や仕事中のアクシデントによって起こる可能性もあります。
自分で判断するのは危険なので、必ず医療機関を受診するようにしましょう。
まずは、むち打ちの原因や種類をご紹介します。
種類別の原因や症状
むち打ちには5つの種類があり、それぞれ原因や症状が異なります。5つの種類を詳しくご紹介します。
頸椎捻挫型
頸椎捻挫型では、以下のような症状が出ます。
- 頭痛
- 首や肩の痛み
- 首が前後左右に動かない
むち打ちと診断を受けた方の、70~80%が頸椎捻挫型に分類されます。首を固定している筋肉や靭帯の軟部組織が損傷したことによって、炎症を起こしている状態です。
一時的に痛み、しびれといった神経症状が出ることもありますが、時間の経過とともに治癒することが多いとされています。
頸椎捻挫型の場合は、治療の継続によって1~3ヵ月で治癒すると言われていますが、3ヵ月以上の治療が必要なケースもあるので、主治医と相談しながら治療を進めていきましょう。
神経根損傷型
神経根損傷型では、以下のような症状が出ます。
- 首の痛み
- 肩から腕にかけての痛み
- 知覚障害
- しびれ
- 体に力が入らない
神経根損傷型は、事故などによって椎間板が損傷、突出し、神経根を圧迫したり、引き伸ばされたりすることにより痛みが発生する状態です。
くしゃみや咳、首を回す動作、首をそらす動作などをすると、症状が増悪し、頸椎捻挫型に比べると治癒するまでに長期化することが多いとされています。
脊髄損傷型
脊髄損傷型では、以下のような症状が出ます。
- 腕の痛みやしびれ
- 足の痛みやしびれ
脊髄損傷型は、脳と体の各部位をつなぐ脊髄が損傷している状態で、脊髄が傷つくことで体の麻痺や知覚障害、歩行障害などさまざまな症状を引き起こす危険性があります。
もともと脊髄管狭窄症や、後縦靭帯骨化症を患っている方は、外部からの衝撃によって脊髄損傷を起こしやすい状態です。
後遺障害として症状が残ってしまうケースが多く、むち打ちの中でも最も深刻な症状です。
バレ・リュー症候群型
バレ・リュー症候群型では、以下のような症状が出ます。
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 耳鳴り
- 難聴
交通事故によるむち打ち動作が原因で起こる自律神経失調症状で、事故があってから2~4週間経過後に、衝撃を受けた頸部ではなく、頭痛やめまいの症状が発生し、3~6ヵ月経過しても症状の改善がみられないことから判明します。
交感神経が過緊張、または興奮状態となることで発症し、交感神経と副交感神経のバランスが崩れるので、自律神経失調症の症状と見分けがつかないこともあります。
脳脊髄液減少型
脳脊髄液減少型では、以下のような症状が出ます。
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 倦怠感
むち打ちの損傷を原因として、脳脊髄腔に穴が開いてしまい、脳脊髄液が漏れ出すことによって起こる症状です。
脳脊髄腔とは、脳から脊髄までを覆い、脳脊髄液の中に浮かぶ閉鎖空間のことで、脳脊髄腔に穴が開くことで空間内を満たしている液が漏れだしてしまいます。
多くは手術やケガなどが原因となって生じる症状ですが、むち打ちによる損傷で、脳脊髄液減少が起こることが明らかになり、原因不明とされていた症状が、脳脊髄液減少症と診断されるようになりました。
症状は後から出ることも
交通事故にあってしまったら、警察や保険会社への連絡が終わり次第、症状がなくてもすぐに医療機関へ行くようにしましょう。
むち打ちはレントゲン撮影などでは異常が現れないので、症状がなければとくに治療を開始することもありませんが、すぐに病院へ行かないことによって、後から現れた症状が事故によるものと判断しにくくなるケースもあります。
重症化してしまう前に病院へ行き、適切な処置を受けるとともに、示談金が減ってしまう可能性をなくすためにも、すぐに病院へ行くことは重要です。
むち打ちはただでさえ後から症状が出やすいという特徴がありますが、交通事故にあった精神的なショックから防衛反応が働き、痛みを感じていないというケースもあるので、医療機関を受診することで自分自身が安心することにもつながります。
通院先
むち打ちの症状がある、症状はないが病院へ行きたいと考えている方は、通院先として選ぶべきは整形外科、整骨院、鍼灸院の3つです。
それぞれどのような特徴があるのかをご紹介します。
整形外科
事故にあったら、まず受診すべきは整形外科です。整形外科では医師が診療を行います。
手術が必要な大きなケガの治療以外にも、レントゲンやMRIなどを用いた精密検査が受けれられ、診断書を作成してもらえます。
実際にむち打ちだけではなく、骨折していたり、組織が損傷していたりしないかを判断するには、レントゲンやMRIを受ける必要があります。
事故にあって相手の保険会社に慰謝料や医療費を請求する際に、診断書が必要となるため、診断書を発行してもらえる医療機関である整形外科を受診する必要があります。
整骨院
整形外科でレントゲンやMRIをしても異常がなく、むち打ちと診断されたら整形外科で診断書をもらい、整骨院に転院する手続きをとることをおすすめします。
整骨院では、交通事故患者を多く施術している柔道整復師が施術を担当してくれるので、身体的な苦痛だけではなく、心理的な不安も熟知し、苦痛や不安を取り除いてくれるような施術を提供してくれます。
整形外科ではレントゲンやMRIに異常が無ければ、治療を打ち切られてしまうケースがありますが、整骨院ではさまざまな手技によって、直接患部に触れて施術を行い患者さんの状態を確認します。
そのため、最初は診断書をもらうために整形外科へ通い、その後は整骨院で治療をするという方も少なくありません。
マッサージや温熱療法、電気療法など、医療類似行為を行うのが整骨院の特徴で、日本では「骨接(ほねつぎ)」として知られている技です。
医療機関は、医師会によって診察時間に関する取り決めがあり、診察時間は短いのが特徴ですが、整骨院にはそのような取り決めがないため、患者さんの状態を時間をかけて確認できるのも特徴です。
身体的な不安だけではなく、心理的な不安にも時間をかけて向き合い、むち打ちの症状以外のケアも叶います。
むち打ちの治療法
むち打ちと診断されたら、次に行うのは治療です。整形外科、整骨院どちらで治療を行うかによって治療方法は異なります。
ここからは、むち打ちの治療法をご紹介します。
微弱電流治療(整骨院)
人間の体は、細胞が損傷を受けると自然治癒力によって、正常な組織から微弱な電流を流すことで自己修復しています。
しかし、自然治癒力の効果は2日程で激減すると言われていて、症状が強い場合は改善するまでに長い時間がかかってしまいます。
そこで、微弱な電流を人工的に作り出して流すことによって、筋肉に刺激を与えて損傷部分の治癒を促します。
微弱電流は、ほとんど刺激を感じない弱い電流なので、神経や筋肉を興奮させずに損傷部分の治癒が可能となります。
ストレッチ(整骨院)
ある程度症状が回復して痛みが落ち着いてきたら、整骨院では首まわりをほぐすストレッチを教えてくれます。
院で施術をしてくれるのはもちろんのこと、自宅でセルフケアも行えるので、時間が空いたときに実施できます。
ストレッチを継続して行うことで、むち打ちが回復した後も怪我をしにくい体づくりに役立ちます。
運動療法(整骨院)
整骨院で行われる運動療法は、身体を動かさずにいることによって起こる関節の拘縮を予防できます。
運動療法を行うことで、筋力の低下や関節の拘縮を防ぎ、筋肉や関節が本来の機能を果たせるようになります。
運動療法では、可動域訓練、筋力強化、マッケンジー療法などを用いて患者さんに合わせた適切な方法から治療が選択されます。
日常生活での注意点や指導も受けられ、通院するとともに自宅での過ごし方も変えることで、早期回復が叶います。
炎症を抑える(整形外科)
痛みがある方は、痛み止めとともに消炎効果のある鎮痛剤を飲むことになります。痛みを抑えるだけではなく、炎症を抑えることで損傷した組織の回復を待つのが、最初に行われる治療です。
さらに、炎症を抑えるために効果的なのは、湿布です。湿布には温湿布と冷湿布がありますが、むち打ちの際にまず炎症を抑えるために必要なのは冷湿布です。
ダメージを受けて腫れてしまった筋肉を冷やし、消炎効果のある鎮痛剤を飲むことで自然治癒を助ける治療法です。
ブロック注射(整形外科)
炎症を抑える治療である湿布や服薬によって症状が改善しない、痛みが治まらず我慢できない場合には、ブロック注射によって痛みを緩和することがあります。
局所麻酔薬を神経や神経の周辺に注射することにより、痛みをなくす方法で、神経に麻酔薬を作用させて痛覚を伝達する経路をブロックします。
ブロック注射によって、痛みを感じている筋肉がほぐされて血流の改善が期待できます。傷んだ神経や筋肉を効果的に早く回復しやすくするような、自然治癒力のサポートをする治療方法です。
治療にかかる期間
前述したように、むち打ちの症状はさまざまなので、治療は自己判断でやめず、必ず指定された日数医療機関に通うようにしましょう。
ここからは、治療にかかる期間をご紹介します。
軽症でも3週間~1ヵ月は治療を継続
むち打ちはレントゲンやMRIにうつらないため、患者さんの症状を見ながら何度か通院することで、通院期間は判断されます。
一般的には3週間~1ヵ月程度かかると言われているむち打ちの治療は、患者さんの生活状況によっても通院日数は変わってきます。
どうしても仕事をしながらの通院になり、事故にあったからといって、むち打ち程度で家で安静にできないという方が多く、とくに体力仕事の方は炎症が酷くなってしまうことも考えられます。
そうなると通院日数は大きく変わってくるので、医療機関と相談しながら通院を続けるようにしましょう。
さらに、むち打ちの治療にはリハビリも含まれているため、治療と同時にリハビリを続けることになります。
通院頻度
通院は、整形外科や整骨院から指定された期間で通うようにしましょう。とくに炎症が治まっていない初期には、2日に1回、3日に1回など、頻繁に通院する必要があります。
炎症は一度の施術では完全に治まることはなく、短いスパンで継続的に施術を行うことが重要です。
次回の施術までに間が空いてしまうと、せっかく行った施術が意味のないものになってしまい、治療が最初からやり直しになってしまいます。
さらに、通院回数が少ないと、相手方の保険会社に症状が軽いと判断されてしまい、治療費を打ち切られてしまうケースもあるので注意しましょう。
後遺障害等級認定とは
交通事故によって、治療をしても完全に元の状態に回復しないことを、損害賠償の分野では後遺障害と呼びます。
自賠責保険が残存した障害の程度によって等級を決め、保険金の限度額を決める制度です。
半年以上治療を継続しても、症状が大きく変わらない場合は「症状固定」となり後遺障害等級の認定手続きをする必要があります。
症状固定の時期は主治医の先生の判断によってさまざまですが、後遺障害等級の認定は、交通事故発生から6ヵ月以上の治療期間が必要です。
むち打ちによる後期障害等級は以下のいずれかです。
- 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 14級9号 局部に神経症状を残すもの
- 非該当
ほとんどのむち打ちは、14級か非該当に認定されることになります。後遺障害等級認定を受けることで、慰謝料の請求や逸失利益の請求が可能となります。
後遺障害等級認定による賠償額は、12級13号で224万円~1,000万円以上、14級9号で75万円~200万円以上となっていて、後遺障害等級が何級になるかによって賠償額が変わってきます。
さらに、後遺障害等級認定されることによって、事故にあわなかったら本来得られていたであろう利益である「遺失利益」を請求できます。遺失利益は「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算されます。
労働能力喪失率は、12級で14%、14級で5%となっていて、労働能力喪失期間は12級で10年、14級で5年と考えられるのが一般的です。
ライプニッツ係数は、将来得られる利益を現在価値になおす計算の際に使用する係数で、年齢をもとに係数表を用いて確認され、計算されます。
後遺障害等級認定されるためには、事故当初からしっかり通院を続けていることや、症状の一貫性があること、診断書の記載事項と自覚症状に整合性があることなどが条件となります。
後遺障害診断書に記載される自覚症状は、大雑把な症状ではなく細かい記載が必要になります。できる限り細かく医師に伝えられるように、自覚症状を整理しておくことも重要です。
まとめ
むち打ちの原因や種類、治療法や治療にかかる期間をご紹介しましたが、参考になりましたか?
交通事故にあったら、まずはじめに整形外科で診断書をもらうようにしましょう。その後の治療は、整形外科で行うケースと、整骨院や鍼灸院で行うケースがあります。
整形外科ではレントゲンやMRIに異常がなければ、鎮痛剤やブロック注射などを使い、損傷した部分が自然治癒するのを手助けする治療となります。
一方で、整骨院や鍼灸院では、自然治癒の手助けを行いつつ、手技や運動療法などによって使わなくなってしまった筋力の低下や関節の拘縮を防ぐ治療を行います。
東北を中心に整骨院やフィットネス、保育事業を展開している株式会社フロンティアが運営する「イーグル整骨院」や「クレーン整骨院」では「たくさんのありがとうを集めよう!」をテーマとして、明るく元気になれる整骨院を提供しています。
最高の治療を提供できるよう、各院ごとの勉強会を定期的に開催し、最善の手技を全力でおこなっています。
技術や知識だけではなく、接遇にも力を入れ、地域の方々や患者さんへ貢献し、また来たいと思えるような整骨院を目指し、理念研修を行っています。
患者さん一人ひとりに合わせた治療方針を決定し、各症状に合わせた治療メニューで、手技を主体に低周波や物理療法を行いながら患者さんの辛い症状を緩和します。
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